前回に引き続き、防犯システムの設置会社篇について解説してまいります。

社会・政治情勢の変化にも目を配る

経営者は目先のことも大事ですが、大きな流れ、社会や政治情勢の変化にも目を配ることも大切です。公共事業が20年で半分になったことを解説しましたが、その他に大きな社会情勢の変化があるとすれば、消費増税があります。

2014年4月に、消費税が5%から8%になりました。このとき、日本の経済力、いわゆるGDPにどういう変化があったかを一言で言えば、東日本大震災級の景気の落ち込みがあったのですね。東日本大震災が起きたときはぐんと需要が下がったわけですが、それに匹敵するほどの景気後退が国全体で起こったというのがマクロ的な視点となっています。

今回紹介した防犯システム会社も消費増税の影響をもろに受けて、かつてないほどの受注減になったのです。ただ、消費増税が実施される1年前からネット広告を出すことになりました。まずはとりあえずやってみようって感じで、ネット広告を出してみて、1年目はちょこちょこ問い合わせが来るようになりました。

ネット広告から数件の大型受注あり

ただ2014年4月以降、ネットから1000万円規模の受注が数件入ってきました。利益率はあまり多くなかったのですが、そもそも仕事がなく、ゼロの状態だったらどうしようもなく、倒産を防がないといけないということで、受注引き受けることになりました。その受注で厳しい2014年を生き延びて、2015年に入ってから平年並みに回復してきたと話していました。

こういった事例を考慮すると消費増税や公共事業の削減は、何年も前から耳に入るわけです。社会や政治情勢の変化は、政治の方針で一度決定すれば、何年か後には実施されることなので、経営者は常に大きな社会情勢にも気を配る必要があります。

近年の事例で言えば、2020年にオリンピックがあります。オリンピック前は建設ラッシュで建設業やそれに関連する産業は景気がいい状態です。ただ、今回も懸念されているのが、オリンピック終了後の受注減です。

これは、今から真剣に対策を考えるのも遅いくらいですが、生き延びるためには遅くても対策を考えなくてはいけません。オリンピックが終わった後、どういうことをやっていくかということが、次の最重要の課題になります。
(続く)

中小企業 防犯システム会社 経営危機突破編


1.B TO B(企業同士で行われる販売戦略)
2.技術者出身の経営者に多い宣伝軽視
3.営業→業界団体からの仕事依頼がほとんど(建設業に似た構造)
4.経営者は社会・政治情勢の変化にも目を配る
5.ネット広告からの受注が数件あり
6.ニーズがあるかをよく調べる
7.今後(オリンピック終了後)の課題
8.新規事業参入の注意点