ここで紹介する自動車整備会社(以降、A社)は、実際に私自身、仕事を引き受け、成果を上げた事例となります。
「ある本を実践したらうまくいった」「このノウハウを実践したらうまくいった」というような抽象的な解説より、具体的にどのような対策を行ったか、具体的事例をストレートに紹介した方が読者のお役立てになると思い、できるだけ詳しく解説しております。

A自動車整備会社の既存サービスと新規事業の集客相談

A自動車整備会社から依頼を受けた内容は、主に二つあります。
一つ目は既存サービスの集客です。既存のサービスは、車の点検・修理に加え、カーエアコンや自動車部品の修理・交換です。

二つ目はこれから行う新規事業の集客です。新規事業の具体的な内容は控えますが、トラックやバスなどの大型車を中心としたメインパーツのメンテナンスサービスになります。

大型車のメインパーツの交換は、生産数に限りがあり、さらに特殊部品のため、ユーザーにとって非常に大きなコストが発生します。そのためユーザー側としては、パーツ交換はできる限り、避けたいと考えています。しかしパーツは日数が経つにつれて劣化し、放置しておくと他の部品にも悪い影響を与え、故障の多発、燃費の悪化を生じることとなります。

さらにパーツの交換作業に数日の工程を必要とし、その間、車が稼働できなくなります。部品の購入・設置費用だけでなく、車が稼働できない日数が生じるため、事業者にとって相当なコスト負担を生じることになります。

そこでA社は、国の補助金制度を活用し、新たな設備を導入しました。その設備はパーツを定期洗浄してパーツの寿命を延ばすことで、パーツの交換費用を大幅に削減できるという画期的な設備です。

同時に燃費を改善し、車の様々な故障を防止する効果まで期待できます。
洗浄作業はその日に完了し、作業時間を大幅に削減するメリットまでありました。ただ新規サービスのため、なかなか市場に認知できず、集客の相談があったわけです。合わせて既存の修理サービスの集客を伸ばしていきたい要望をいただきました。

宣伝・集客の重要性

ライバル会社は多いが、宣伝に力を入れている会社は少ない

「サービス業」の定義は広範囲で、車の整備・修理業はサービス業に分類されます。特に技術サービスを提供している中小企業の場合、技術者出身の社長さんが大多数です。長年、事業を存続している社長さんとなると技術力が極めて高く、経験も豊富です。

しかし技術者出身の社長さんによく見られる傾向として、宣伝や集客が苦手か、もしくは宣伝軽視の考えが根強くあります。しかし地元の多くのライバル会社が、宣伝や集客に力を入れていないからこそ、宣伝・集客に力を入れることで、地域の見込み客を数多く囲い込むことが可能とも言えるのです。

中小企業が生き残る方法

大企業のサービスが行き届いていないサービスやエリアで戦う

中小・零細企業においては、大手が行うサービスと同じことを行っても価格競争に敗れてしまいます。
大企業は人材が豊富で、システムや体制が出来上がっています。そのため大手と同じサービスを行っても、価格競争で勝てることはありません。

中小企業が生き残るためには、「大企業がやっていないこと」あるいは「サービスが行き届いていない」ところで戦っていくことが重要になります。

商圏内の占有率を確認する

自動車整備業ではよっぽどのことがない限り、全国を相手に営業することはありません。必ず商圏が存在します。我が社の商圏にどれだけのライバルがいて、我が社はどれだけのシェアを確保できているかを、はじめに知る必要があります。

例えば、自分の工場のある場所から半径10キロ以内にライバルが参入していないなら、そのエリアは十分に囲い込みできるチャンスがあります。なぜなら、ユーザーは遠くまで出かけるよりも、近場の業者に車を預けたいと考えるのが普通だからです。

またライバルが複数存在するなら、我が社がごれだけの占有率を確保しているかをわかる範囲で調べる必要があります。そのライバルたちの中で、少しでもライバルに有利に立てば、占有率が改善することになるからです。

安さでなく、安全・安心をアピールする

では、どのようにお客様を獲得するかと言うと、車の修理や整備を依頼するユーザーは、「安さで決める」という見方もありますが、「安さ」以上に「安全・安心」で決める要因が強いです。事故を起こすと命に係わることなので、前提条件として「安全・安心」を中心にアピールしていくことが大事になります。

ではどのようにして「安全・安心」をアピールしたらよろしいでしょうか。チラシやホームページに、ただ「安全・安心」をキャッチにしても、思うような効果は得られないのはもうご存じでしょう。

ここはもう一工夫が必要です。業界内では当たり前のように知られていることでも、実際に車の修理を依頼するお客様の側からすると、知らないことが多いのです。
「業界内では、誰もが当たり前のように知っていることなので、今更ホームページやチラシに書く必要がない」と思っていることが、実は意外な決め手になるなるのです。

安全・安心を効果的に宣伝するポイント

有資格者の在籍をアピールする

例えば、自動車整備会社では有資格者が在籍し、整備・点検は当然、有資格者が行っているわけです。数年前に、ある有名な大手自動車メーカーが、資格を持たない人が検査を行ったことで、ニュースで話題になったことがありましたが、車の整備は基本的に有資格者が行うわけです。

多くの自動車整備会社では、在籍している整備士のほとんどは、自動車整備に関する資格を取得しており、資格者が車の整備や修理を行うわけです。これは、車の整備業界では当たり前のことですが、車の修理をお願いするお客様の立場からすると知らないことが多いのです。

業界内では、「車の修理や整備は有、資格者が実施するのが常識なので、宣伝に使えない」と思うでしょうが、車の修理を検討しているお客様は、業界内のことを知らない人が圧倒的に多いわけです。

ホームページに「有資格者が多数在籍」「有資格者が点検・修理を実施」と記載されているだけでも大きな差別化になるのです。なぜなら、ほとんどの中小・零細企業では、これらの記述を記載していないからです。

認定工場・加盟店・受賞を活用する

信頼性を高める記述として、「●●認定工場」「●●組合加盟店」「国土交通省 ●●認定」「国土交通省 ●●受賞」もあります。

そもそも車の整備業を経営していれば、どこかの団体の加盟店や組合に加入していることでしょう。そもそも国の認定がないと、自動車整備の事業を行うことができないです。

さらに長年、事業を営んでいることで、国や地方自治体から表彰されることは普通にあることでしょう。

「●●認定工場」「国土交通省●●受賞」のような、協会や国からの認定や表彰が記載されていると、お客様の信頼度が高まります。

お客様は、信頼できる会社かどうかを見極めるために、客観的な評価を知りたいと思っています。例えば、いくら「わが社は優れている」「我が社は安全・安心に力を入れている」と主張しても、それは客観的な評価ではありません。

なぜならサイトに訪問した人は、基本的に疑いの目で見ていて、「単に自画自賛しているだけではないか」という不振の目で見ているからです。

しかしお客様の声や表彰・許可証は、実際にサービスを利用した人や、国や地方自治体が認めた客観的な資料となります。第三者が評価したものや、国や地方自治体の許認可や表彰は、自社で作れるものではないため、お客様の信頼度をより高めることができるのです。

創業年度・実績をアピール

あとは、創業からの年数も信用度を高める指標になります。ひと昔前なら会社の寿命は30年と言われていましたが、現在は、「10年で9割以上は廃業している」と言われている大変厳しい時代となりました。

このような厳しい経営環境の中、10年以上存続している会社であれば、それだけの知識と経験を有しています。運営年度が長いほど、宣伝に活用できるため、これらの実績を活用するとよいでしょう。あるいは、「修理総台数●台」「有資格者●人が在籍」などもアピールポイントになります。

技術研修会の実施

車の整備会社の集客・宣伝法の一つに「技術研修会のアピール」をあげています。今では多くの整備会社が、技術研修会あるいは勉強会を開催していますが、これらのことも宣伝で活用するとよいです。

技術研修を開催したら、その研修の様子をホームページやfacebook、ブログに掲載すると、見込み客になりそうな人ほど、しっかり読まれる可能性があります。
なぜなら自分の車を大切にしているお客様ほど、「どのような人が修理していて」「どのように愛車が扱われているか」が気になるものです。会社全体の方針として技術力向上に努めている姿は、ホームページを訪問した見込み客にとって、会社の信用度・安心度を高めることになります。

現場作業の様子を投稿する

まずは、現場スタッフの投稿記事の一例を次にあげてみます。

「今日は、トラックの修理を頼まれました。お客様から今日中に直してほしいと言われ、部品の在庫を探すためパートナー業者にかたっぱしに電話して探したところ見つかりました。
パートナー業者まで車で部品を直接取りに行き、今日中に無事、修理を完了できました。最後にお客様に喜ばれて本当にうれしかったです」

どうでしょうか。ごくわずかの記事ですが、これを読むだけでも、社内カルチャーと、従業員がテキパキと仕事をしている雰囲気が、十分に伝わってきます。このわずかの記事がきっかけとなって、法人取引が決まることもあるわけです。

実際の現場作業の様子は、現場スタッフが投稿すると、より現場の雰囲気が伝わりやすくなります。もちろん、修理している様子を撮影して写真をアップすると、さらにに現場の雰囲気が伝わりやすくなります。

最初は月に1度でもよいので、日程を決めて撮影するとよいでしょう。慣れてくると、週に一度なら容易にできるようになります。現場の様子を伝えることも営業の一環として考え、まめな更新を行うとよいです。

代車サービスのアピール

修理や車検で数日、車を預けるとき、代車を無料で貸し出すことを提供している整備会社はたくさんあります。

しかし代車サービスを行っていても、ホームページやチラシなどに代車無料サービスを記載していないケースは意外と多いのです。台車無料サービスの起債は、申し込み率を高めるポイントとなります。また、「無料見積り」「点検無料」のサービスがあれば、これらをアピールすることで宣伝効果を高められます。

点検シートの活用

多くの整備会社では、車の点検や検査を行ったら、診断結果を点検シートにまとめてお客様に提出していることでしょう。このような点検シートをホームページにサンプルとして掲載することで、「この会社はしっかり点検しているな」と思わせることができ、信用度や安心感を高める効果が期待できます。

実際に点検シートの現物をホームページに掲載しておくと、「ここはしっかりやっているんだな」「他のサイトを見たけど、点検シートは見当たらなかったなあ」と思うユーザーさんもがいるわけです。

点検シートの提出は多くの整備会社で行っているのですが、実際の点検シートの現物をホームページで紹介しているところはまだまだ少ないです。このように普段、当たり前のように使っている点検シートも宣伝ツールとして使えるわけです。

自動車整備会社の価格的メリットを記載する

お客様が自動車整備会社でなく、ディーラーに修理を依頼したとします。ディーラーでは直接、修理作業を行わないことが多く、下請けや外注先の自動車整備会社に依頼することになりますが、そのときにディーラーの販売手数料が発生してしまいます。

これに対し、自動車整備会社に直接依頼すれば、修理作業が自社設備で実施できる場合は、ディーラーへ支払う販売手数料は発生しません
ディーラーに頼むのも整備会社に頼むのも、業者側からすればどちらのケースも適正価格に違いないのですが、お客様の立場からすると販売手数料が含まれると、その分コスト高になります。

自動車整備会社は、自社設備で直接修理を行える大きなメリットがあります。販売手数料がかからない分、ユーザーにとってはお得なわけです。自動車整備会社に依頼することの価格的なメリットを伝えておくことも大事なわけです。

経営理念をつくる

最後に、自動車整備だけではなく販売会社や治療院、その他の業種の会社にも該当することですが、経営理念の重要性を簡単に解説します。

ここで紹介した自動車整備会社は素晴らしい経営理念をつくっており、本当に感動するような経営理念です。

経営理念は、問題が解決しない時や行き詰まった時など、経営理念に戻って考えると、不思議と解決の糸口が見つかることが多いのです。経営理念を掲げて、長年、事業を営んでいる経営者なら経営理念の重要性がよくおわかりと思います。

ある意味、経営理念は「禅の悟りの言葉」と言われます。「何のために、私はこの仕事をしているのか」、その自問自答した答えが経営理念に込められているのです。

「金儲けのため」「自分のため」という目的だけでは、社員は本気でついてこなくなります。「地域貢献」とか「人々の幸福」のような「事業を営む高貴な理念」があるからこそ、大変な時に経営者自身への励みになるし、大勢の社員もき目標を一つにして会社について行くようになります。

グーグルマイビジネスの活用

近年、グーグルマイビジネス(グーグルマップ)からの集客効果が大きく高まっております。一例をあげれば、ユーザーが、グーグル検索エンジンで「近くの車修理屋さん」と検索すると、検索上位に地図と近くの車修理工場が表示されます。

さらにスマホを使用する人に多いのが、グーグルマップアプリです。このグーグルマップアプリを利用者する人の数は約四千万人となっており、ラインについで第二位となっています。

※ モバイルマーケティング研究所調べ

このようにグーグルマイビジネスは、検索エンジン上位表示とスマホアプリからの集客効果が断然高いわけです。
グーグルマイビジネスで上位表示させる具体的な方法はありますが、まだまだ多くの業者が本登録していないのが実態です。まずはグーグルマイビジネスに管理者登録することからお勧めしています。

グーグルマイビジネスにしっかり登録しておくことで、地図に表示されやすくなるのです。今では、公式ホームページよりもグーグルマイビジネスからのアクセスが多くなった事例は数多くあります。
グーグルマイビジネスは無料で登録できるため、未登録の場合には、早めに登録することを勧めています。


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