今回は、治療院の多店舗展開の成功の秘訣「同時に複数展開しない」「成功モデルをつくる」について解説してまいります。

同時に多店舗展開せず、一店舗ずつ軌道に乗せていく

多店舗舗の展開方法ですが、複数店舗を同時に開店・運営する治療院は、私の知っているお客様にはいません。もちろん、複数店舗を同時に立ち上げて成功している治療院は探せば見つかるかもしれません。

ただ、あのトヨタでさえ今では世界中に工場がありますけど、海外へ工場を建設するときは慎重でした。特に中国への進出はリスクがあります。そのリスクを考え、複数展開せず一つの工場を建設・運営し、収益がしっかり確保できてから次の海外進出を行うようにしていましたね。

例え、中国リスクが生じても、それでも利益が確保できる見通しを立てていたのです。（最も、当時と今の中国リスクの大きさはずいぶん変わっておりますが）

これだけ資本力のある大企業であっても、慎重なやり方をしていたのですね。これと同様に治療院の複数店舗の展開においても、持ち金、できるだけ手金でやっていくことが望ましいと思われます。

そして、もちろんながら、複数店舗の展開を行う前提条件として、最初の一店舗がうまくいっていないといけないんですね。一店舗目がうまくいかないので、２店舗目を運営して売り上げアップを図ろうとしても失敗する可能性の方が高いのです。

まずは最初の一店舗がうまくいき、その事例を次の２店舗目に展開していくことをやっていくと、そうそう大きく崩れることはないと思います。こういった成功モデルを作り、それを次の店舗に活かしていくことが大事かなと思います。

成功モデルをつくる（教育・昇進制度の構築、経営・事業理念を共有）

多店舗経営を成功させるには、もちろん集客だけでなく、スタッフから院長までの教育のしくみ、昇進・昇給の制度化、経営理念・事業理念をつくり、社員に共有することが大事になってきます。

特に経営理念をつくって社員全員と共有していくことで、治療院グループが将来向かっていくべき方向性が社員全員に伝わっていくようになります。

経営理念を真剣につくったことのある社長ならお気づきかと思いますが、何かうまくいかないなと行き詰まったときに経営理念を振り返ると、答えが見つかることがよくあるわけなんですよね。

経営理念を振り返ると原点に戻り、初診忘れるべからずではないですが、間違っていたときは不思議と修正出来て、正しい道を発見できる不思議なものなんですね。長く続いている治療院や経営者ほど、経営理念、事業理念を大事にしている傾向があります。

多店舗展開成功の秘訣を5回に渡って解説しました。具体的な販売の方法、例えばインターネット集客の方法については、長くなってしまうので、詳しい方法は別途解説する予定であります。

治療院経営の繁栄のヒントになれば幸いであります。

（次回に続く）

治療院の多店舗展開の成功の秘訣

1.治療院は一店舗の運営でも大変。多店舗はもっと難しい
2.立地戦略は駅前
3.治療院名に駅名を入れる

4.宣伝広告に特に力を入れている
5.技術者出身の院長は、販売軽視が多い
6.治療・宣伝・資金運用のバランスの大切さ

7.HP作成・広告会社は有名・大企業で選ばない
8.いい人と長く付き合い、共に発展する
9.同時に多店舗展開せず、一店舗ずつ軌道に乗せていく（トヨタ戦略）
10.成功モデルをつくる（教育・昇進制度、経営・事業理念を共有）