第二の法則「集中効果の法則」

A軍6人、B軍3人のケース

ランチェスターの第二法則の「集中効果の法則」とはいかなるものでしょうか。
この法則を理解するために、わかりやすいたとえがあります。

A軍に6人、B軍に3人いるとします。
そして両軍とも、一人につき1分間に6発の弾丸を発射できるとします。
1分間にA軍、B軍が撃てる総弾丸数は、下記のとおりです。

各軍の弾丸を発射できる攻撃総数

A軍:6人×6発=36発
B軍:3人×6発=18発

次に、相手の弾丸を受ける一人当たりの命中数を算出してみます。
A軍6人はB軍3人から攻撃を受け、B軍が発射できる弾丸総数は18発です。
これに対しB軍3人は、A軍6人から攻撃を受け、A軍が発射できる弾丸総数は36発です。
これらを踏まえ、各軍一人当たりの弾丸を受ける数をまとめると、次になります。

一人当たり、敵の弾丸を受ける平均数

A軍:6人÷18発=3発/人
B軍:3人÷36発=12発/人

これを見ると、A軍はB軍の2倍の兵数がいます。しかし弾丸数(攻撃力)で見ると、B軍一人当たりの敵の弾丸を受ける数は、A軍の4倍となります。

A軍9人、B軍3人のケース

参考までに、A軍9人・B軍3人のケースを見てみましょう。

A軍:9人÷18発=2発/人
B軍:3人÷54発=18発/人

A軍はB軍の3倍の兵数に対し、一人当たりの敵の弾丸を受ける数は、A軍の9倍となります。

集中効果の原則は、「攻撃力は兵士数の2乗に比例する」

先ほどの2つの事例では、A軍、B軍の兵士数の差はそれぞれ2倍、3倍ですが、攻撃数に換算した場合、4倍、9倍となることに気づきますね。つまり、「攻撃力は兵士数の2乗に比例する」ことになります。この法則を「ランチェスターの第2法則」と言います。

これを経営に当てはめると、ライバルより2倍の営業力となれば4倍の攻撃力、営業力が3倍にばれば9倍の攻撃力になることをいいます。

そして営業力は、営業員の数だけでなく、チラシ宣伝、ネット広告などにも当てはまるのです。

今はコロナ不況で経済が大きく低迷しています。業績が悪くなると特にマーケティング予算や宣伝広告費を削減する企業が多数です。

しかしランチェスターの第二の法則から考えると、マーケティング予算や宣伝広告の予算を減らすことは、落とした費用分の2乗分の攻撃力を落とすことになるのです。そして、思いのほか、最悪の結果を招いてしまう企業が後を絶たないのです。

しかし、「ランチェスターの第二の法則」を正しく理解することで、大不況期に大きく業績を上げ、業界占有率の序列が入れ替わることが、不況期ほど多く起きているのです。

※「ランチェスターの第二の法則」で、世界恐慌下で成長した企業の事例を以下に紹介しています。
詳細はこちら→過去の世界恐慌下で成長した企業に学ぶ~コロナ禍でも成功するマーケティング戦略