店舗は地域設定を行うのが基本

地域設定をご存じですか。たとえば福岡県で美容室を営んでいるとします。あるいは治療院でも構いません。お店のリスティング広告を出したとき、広告が東京に表示されていたらどうでしょうか。

よっぽどの事情がない限り、東京から福岡までわざわざ足を運ぶユーザーはいません。
さすがにこのような地域設定をしている広告代行会社はいないと思いますが、配信地域は重要な設定の一つです。そして地域設定はもちろん、ヤフー広告にもグーグル広告にもあります。

実は配信地域を「なし」で設定してしまうと、リスティング広告は全国に掲載されてしまいます。とくに自社運営の場合、地域設定をしないで、全国に広告が掲載されていた例を、ときどき見ることがあります。

また配信先を「都道府県」で設定するケースも見受けられますが、単純な都道府県の設定には注意が必要です。

成果の出る地域設定

ここで「茨城県」を例にとってみましょう。同じ茨城でも、最南端の取手市から最北部の北茨城市までの距離は110km以上あります。これに対し、取手市から東京の上野駅までの距離は38kmです。

取手から北茨城までは、電車でゆうに2時間以上かかりますが、取手から上野までは電車で40分ほどです。さらに東京方面の電車の本数は1時間に4~7本ありますが、北茨城方面は東京方面の半分以下の本数しかありません。

そして取手と東京の間には、千葉県の市町村があります。実は取手市では、茨城県内よりも東京方面への移動の方がずっと近くて便利なのです。

このことは東京で働いている人も知らないことが多いのです。そしてこのような地域に該当するところは全国にもあるでしょう。

もし広告代行会社に依頼するときや自社で運営するときに、地域指定をどちらにするかを明確に指示しないと、単純な都道府県で設定されてしまい、思うような成果が得られないこともあります。

つまり茨城北エリアの広告配信は停止し、代わりに常磐線沿いの千葉北部、もしくは東京北部に配信する方が、来確率は高まる可能性があるでしょう。

これまでのことを考慮すると、地域設定を単なる「都道府県」で設定した場合、多くのムダを生じている可能性があるのです。

配信地域をどうやって設定するかは、これまでに実際に来店したお客様のエリアを一度、整理するとよいでしょう。するとお店の商圏が見えてきます。

過去に来店した顧客リストの住所を確認すると、そもそも来店がない市町村もあります。その地域は、広告効果が悪いと考えられるため、配信エリアから外すか、優先順位を下げる方が望ましいでしょう。

他のお店の事例をあげると、JR線沿いの自宅からの来客数が多かった事例もあります。さらに都内のお店の例では、JR線よりも地下鉄沿線からの来店が多く、店舗から離れた駅からの来店も多かったことさえあります。

そこで来客の多いエリアの広告配信を強化することで、費用対効果をさらに高められたのです。

ヤフー広告の地域設定画面

グーグル広告の地域設定画面

商圏は業種・サービスによって違いがある

それから商圏は、すべての業種で一律にできるものではありません。たとえば美容院であれば、よっぽどのカリスマ美容師でなければ、遠くから来店される可能性は極めて低いのです。店舗が所在する近辺エリアからの来店が多くなるでしょう。

これに対し、自動車整備会社の場合は移動手段が車なので、商圏は美容室よりも広くなる傾向があります。さらに他の整備工場では提供していない特殊なサービスがある場合には、遠くのエリアから修理に来るケースが増える場合もあります。

これは治療院業界においても、似たことが言えるでしょう。たとえば腰痛や肩こりの改善なら、自宅近くにも対応できる整体院や鍼灸院が多数存在しています。したがって遠くの治療院に足を運ぶことはまれです。

しかし不妊や更年期障害のような専門的な施術になると、自宅の近くに、その施術を実施している治療院がなかなか存在しません。この場合には腰痛や肩こりのような一般施術のケースよりも商圏を広めに設置すると、広告配信をより有効に使えるのです。

このように商圏は、業種や店舗内のサービス内容によっても変わることがあります。それから地域上の特性を理解する必要があるでしょう。過去に来店した顧客リストの住所を一度整理することで、隠された商圏を見つける可能性もあります。

商圏に合わせて「地域設定」を見直し、広告の費用対効果をより高めてまいりましょう。